リスティング広告の商標権侵害とは?回避策から対処法まで解説

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リスティング広告を運用する中で、「競合他社の商標とは知らずにキーワードを設定してしまった」「広告文に他社名を入れたら、商標権侵害の警告が来た」といった経験はありませんか?

意図しない商標権の侵害は、広告の停止だけでなく、法的な罰則や高額な損害賠償に発展する可能性のある重大なリスクです。広告運用者としては、絶対に避けなければなりません。

本記事では、リスティング広告における商標権侵害の基本から、具体的な回避策、そして自社の商標が侵害された場合の対処法まで、コンテンツSEOの観点から網羅的に解説します。

リスティング広告における商標権侵害の基本を解説

リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して広告を表示するマーケティング手法です。
しかし、そのキーワードや広告文に他社の「登録商標」を無断で使用してしまうと、商標権侵害にあたる場合があります。

広告媒体のポリシーと法律の両面から正しく理解し、意図しないトラブルを未然に防ぐための基礎知識を身につけましょう。

商標権とは

商標権とは、特定の商品やサービスに使用する名称やロゴマークなどを、独占的に使用できる権利です。
この権利は、特許庁への出願と登録査定を経て正式に発生します。

商標制度の主な目的は以下の2つです。

  • 1.事業者の信用の保護:自社の商品・サービスと他社のものを区別する「目印」を法的に保護し、品質やブランドイメージに対する信用を守ります。
  • 2.需要者(消費者)の利益の保護:消費者が商品やサービスの出所を正確に識別できるようにし、混乱を防ぎます。

 

商標権侵害と判断される具体的なケースとは

リスティング広告において、どのような行為が商標権侵害と判断されるのでしょうか。

最も典型的なケースは、競合他社の登録商標を自社の広告文に無断で使用することです。
これにより、ユーザーが広告主を商標権者本人やその公式な関連企業であると誤認する「出所混同」を招くためです。

一方で、他社の商標をキーワードとして登録する行為自体は、GoogleやYahoo!のポリシー上、直ちに違法とはなりません。
キーワード使用自体は媒体ポリシーで許可されていますが、広告文の内容によっては侵害と判断されるリスクがあります。

種類 リスク 備考
広告文への無断使用 高い ユーザーに出所混同を生じさせるため、原則として商標権侵害と見なされます。
キーワードとしての使用 低い(ただし注意) キーワード使用自体は媒体ポリシーで許可されていますが、広告文の内容によっては侵害と判断されるリスクがあります。

 

重要なのは、広告全体としてユーザーに出所混同を招くかどうかという点です。
たとえキーワードとしての使用であっても、表示される広告文に「公式サイト」「正規代理店」といった誤解を招く表現があれば、商標権侵害と見なされるリスクは格段に高まります。

商標権を侵害した場合に発生しうる2つのリスク

もしリスティング広告で他社の商標権を侵害してしまった場合、単に広告が停止されるだけでは済みません。
法律に基づき、大きく分けて2つの深刻なリスクに直面する可能性があります。

法律違反による罰則が科される

商標権の侵害は、商標法に違反する行為であり、刑事罰の対象です。
故意に他社の商標権を侵害したと判断された場合、以下のような重い罰則が科される可能性があります。

広告運用担当者個人の問題にとどまらず、「知らなかった」では済まされないため、商標の取り扱いには最大限の注意が求められます。

  • •個人:10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)
  • •法人:3億円以下の罰金

多額の損害賠償を請求される

刑事罰とは別に、商標権者から民事上の責任として損害賠償を請求されるリスクも存在します。
権利者は、商標権侵害によって被った損害(逸失利益など)の賠償を求める訴訟を起こすことができます。

損害額は、以下を基に算定されることが一般的です。

  • •侵害者が商標を使用して得た利益の額
  • •商標権者が本来得られたはずの利益(逸失利益)
  • •商標ライセンス料に相当する額

 

リスティング広告は表示回数やクリック数が膨大になるため、侵害行為の規模によっては賠償額が数千万円から数億円に上るケースも珍しくありません。
安易な商標の使用が、予期せぬ巨額の金銭的負担につながることを強く認識しておく必要があります。

他社の商標権を侵害しないための広告運用における注意点

商標権侵害のリスクを確実に回避し、健全な広告運用を続けるためには、日々の業務の中で具体的な注意点を意識することが不可欠です。

特に、広告運用の根幹である「キーワード選定」と「広告文作成」の2つのプロセスで、侵害を未然に防ぐためのポイントを押さえましょう。

キーワード選定で気をつけるべきポイント

他社の登録商標をキーワードとして設定すること自体は、直ちにポリシー違反とはなりません。
しかし、商標権者から申し立てがあれば広告が停止される可能性があるため、安易な使用は避けるべきです。

特に、自社の商品・サービスとの関連性が低いにもかかわらず、集客目的だけで著名な他社商標をキーワードに設定する行為は、トラブルの元です。
キーワードとして使用する際は、以下の点を確認しましょう。

  • •そのキーワードで検索するユーザーの意図と、自社の広告内容・LPが合致しているか。
  • •事前に J-PlatPat(特許情報プラットフォーム) などを活用し、商標登録の有無を調査する。

 

こうした地道な確認作業が、リスクを未然に防ぐ有効な予防策となります。

広告文の作成時に遵守すべきルール

広告文(見出し、説明文、パスなど)に他社の登録商標を無断で記載することは、ユーザーの出所混同を招くため、原則として商標権の侵害にあたります。

ただし、以下のようなケースでは使用が許容されることもあります。

  • •正規代理店・販売店として、仕入れた商品の名称を記載する場合
  • •自社製品がその商標の製品に対応していることを示す目的(例:「iPhone対応ケース」)

 

しかし、上記の場合でも「公式サイト」「公式ストア」のように、自社が商標権者であるかのような誤解を与える表現は基本的に認められません。

安全を期すためには、広告文に他社の商標を含めることは原則として避け、必要な場合は商標権者から明確な許諾を得ることが不可欠です。

自社の商標がリスティング広告で使われた場合の対処ステップ

もし自社が保有する登録商標が、競合他社などのリスティング広告で無断使用されているのを発見した場合、冷静かつ段階的に対処することが重要です。

ステップ1:広告を出稿している企業へ直接取り下げを依頼する

最初のステップとして、広告を出稿している企業に直接連絡し、広告の取り下げを要請します。
商標権に関する知識不足から意図せず使用しているケースも多く、指摘によって速やかに解決することがあります。

連絡する際は、以下の情報を具体的に示し、冷静な文面で依頼しましょう。

  • •対象の広告: どの広告のどの文言か
  • •自社の商標: どの登録商標か(登録番号を明記)
  • •侵害内容: 権利を侵害している旨

 

後々の証拠とするため、やり取りの記録が残るメールや、より正式な手段として内容証明郵便の利用も有効です。

ステップ2:解決しない場合は広告媒体へ商標権侵害を申し立てる

直接の依頼で解決しない場合や、相手から応答がない場合は、広告を掲載している媒体(GoogleやYahoo!)へ商標権侵害の申し立てを行います。

各媒体は商標権保護に関するポリシーを設けており、権利者からの正式な申し立てに基づき調査・対応を行います。

Google広告で商標権侵害を申請する手順

Google広告へは、公式のオンラインフォーム「商標権侵害の申し立て」から申請します。
フォームに以下の情報を入力して送信します。

  • •商標権者の連絡先情報
  • •登録商標の詳細(登録国、登録番号など)
  • •侵害している広告主の情報や広告の具体的な内容

 

申し立てが正当と判断されれば、該当広告の掲載停止といった措置が講じられます。
また、正規代理店など特定の広告主に対して商標の使用をあらかじめ許可する「第三者による使用の許可」手続きも可能です。

Yahoo!広告で商標の使用制限を申請する方法

Yahoo!広告の場合は、「広告掲載基準『商標権の侵害』に関する申告フォーム」から使用制限を要請します。
手続きには、申告者が商標権者またはその正規代理人であることを証明するため、印鑑登録証明書などの書類提出が求められることがあります。

申告フォームに、申告者情報、登録商標の情報、侵害している広告内容などを詳しく記載します。
Yahoo!広告が内容を審査し、違反と判断した場合、広告の掲載停止などの措置が取られます。

まとめ

リスティング広告運用における商標権侵害は、誰もが加害者にも被害者にもなりうる身近な問題です。

運用担当者は、商標権の基本を正しく理解し、他社の権利を尊重する姿勢を持つことが何よりも重要です。
キーワード選定や広告文作成の各段階で商標登録の有無を確認し、誤解を招く表現を避けるといった予防策を徹底しましょう。

また、自社の商標が無断で使用された際には、本記事で解説したステップに沿って、冷静かつ段階的に対応することが求められます。
これらの知識と実践が、企業を法的なリスクから守り、信頼性の高い広告活動を維持する礎となります。

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